バンヤン・グループ(Banyan Group)は2026年6月29日、モンテネグロ沖の小島に建つ「マムラ・アイランド・バイ・バンヤンツリー(Mamula Island by Banyan Tree)」が、バンヤンツリーブランドとして初のフルシーズンを迎えたと発表しました。19世紀の要塞を再生した全32室の島まるごと一軒宿で、バンヤンツリーにとってヨーロッパ初進出となる施設です。

まず前提として押さえておきたいのは、これが更地からの新築開業ではないという点です。マムラ島の要塞ホテルそのものは、エジプト出身の実業家サミフ・サウィリス(Samih Sawiris)氏が率いるオラスコム・ディベロップメント(Orascom Development)による7年がかりの修復を経て、すでに数年前から営業していました。バンヤン・グループが運営に加わることを発表したのが2025年7月、そこから客室・スパ・ダイニングをブランド仕様へ作り替え、2026年シーズンに「Mamula Island by Banyan Tree」として本格デビューした、という経緯になります。ヨーロッパ第1号という位置づけは、あくまでバンヤンツリーブランドとしてのものです。
舞台となるマムラ島は、ユネスコ世界遺産に登録されたコトル湾(ボカ湾)の入口に浮かぶ小さな岩礁島です。島を占める円形の石造要塞は1850年代、アドリア海沿岸の防衛拠点として築かれたもので、修復にはリスボンのMCM Architecture & Design とモンテネグロのスタジオProjektor が参画し、地元の文化財当局と協議しながら進められました。インテリアはピョートル・ヴィシニェフスキ(Piotr Wisniewski)とベルリンのweStudio が担当。天然石、古びた真鍮、無垢のオーク材、オーガニックなテキスタイルを基調に、要塞のアーチ形状をモチーフとして全館に反復させ、この建物のためだけの家具シリーズまで起こしています。

客室は全32室。要塞の躯体をそのまま生かしたヘリテージ・スイートと、ヘリテージ・スカイスイート(94平方メートル)を筆頭に、パノラミック・スイート(122平方メートル)、ジュニアスイート、アドリアティック・バルコニールーム(46平方メートル)などが揃い、いずれもアドリア海か要塞中庭を望みます。なかでもスカイスイートは、欧州のホテルデザイン賞AHEAD Europe で「Best Hotel Suite」を受賞しています。ダイニングは、3つの屋外プールに面したクルード(生の魚介)主体の「Parasol」、地の食材を主役に据えた「Kamena」、イタリア・カリブ・レバントの沿岸料理を織り交ぜるテラス席の「Celeste」、そしてレコードをかけながらカクテルを供するスピークイージー風の「Pinea Bar」という4施設構成です。
要塞の塔部分に収められたバンヤンツリー・スパは、トリートメントルーム2室とカップルスイート1室、儀式(リチュアル)ルーム2室に加え、フィンランド式サウナとハーブサウナ、スチームルーム、ハロテラピー(塩療法)ルーム、フローティングタンク、エクスペリエンスシャワー、ジムを備えます。タイ、インドネシア・ジャワ、中国由来の伝統的手技や、同ブランドの看板メニュー「Royal Banyan」を、独自のウェルビーイング8原則に沿って提供する構成です。このほか屋外プール3面、専用ビーチ、カヤックやパドルボード、ウォーターバイク、電動自転車が用意され、島全体を貸し切るバイアウト利用にも対応します。地元のアーティストを招くアーティスト・イン・レジデンス、オペラの夕べ、Operosa音楽祭との連携など、文化プログラムを厚くしているのもこの島の特徴です。
周辺環境
マムラ島が浮かぶコトル湾(ボカ・コトルスカ)は、アドリア海がモンテネグロの山塊に深く切れ込んだフィヨルド状の入り江で、湾奥の要塞都市コトルの旧市街を含む一帯が「コトルの自然と文化・歴史地域」としてユネスコ世界遺産に登録されています。石灰岩の断崖が海面から一気に立ち上がる景観は、地中海でも屈指の劇的さで知られます。
湾の内側には、城壁に囲まれたコトル旧市街、ヴェネツィア様式の街並みが残るペラスト、湾に浮かぶ人工島の聖母教会(Gospa od Škrpjela)といった見どころが連なります。島の対岸にあたるルシュティツァ半島やヘルツェグ・ノヴィ側では、オリーブ農園や漁村を巡るフードツアーが組まれています。北へ向かえば国境を越えてクロアチアのドゥブロヴニクが近く、南のブドヴァ周辺にはアドリア海屈指のビーチリゾートが広がるため、バルカン半島南部の周遊拠点としても機能します。
アクセス
Mamula Island, Herceg Novi Municipality, Montenegro(コトル湾入口のマムラ島)
- 島へのアクセスはボカ湾を渡る専用ボート送迎(島に一般の桟橋はなく、宿泊者は送迎を利用)
- ドゥブロヴニク(クロアチア)またはティヴァトからヘリコプターでの移動も手配可能
- 最寄りの国際空港はティヴァト空港、次いでドゥブロヴニク空港
施設概要
| 名称 | マムラ・アイランド・バイ・バンヤンツリー(Mamula Island by Banyan Tree) |
|---|---|
| ブランド | バンヤンツリー(Banyan Tree/バンヤン・グループ) |
| 所在地 | モンテネグロ・ヘルツェグノヴィ市 マムラ島(コトル湾入口) |
| 開業日 | 2026年6月(バンヤンツリーブランドとしてのデビューシーズン。公式発表は2026年6月29日/建物自体は修復後、数年前から営業) |
| 客室数 | 32室(ヘリテージ・スイート、ヘリテージ・スカイスイート94平方メートル、パノラミック・スイート122平方メートル、ジュニアスイート、アドリアティック・バルコニールーム46平方メートルほか) |
| 主な施設 | レストラン「Parasol」「Kamena」「Celeste」、バー「Pinea Bar」、バンヤンツリー・スパ(トリートメントルーム2室+カップルスイート1室、リチュアルルーム2室、フィンランド式・ハーブサウナ、スチームルーム、ハロテラピールーム、フローティングタンク、ジム)、屋外プール3面、専用ビーチ、マリンアクティビティ、島全体のバイアウト対応 |
| 設計監理 | 建築・要塞修復:MCM Architecture & Design(リスボン)/Projektor(モンテネグロ) インテリア:Piotr Wisniewski + weStudio(ベルリン) |
| 施工会社 | 不明 |
| 事業主体 | オラスコム・ディベロップメント(Orascom Development/サミフ・サウィリス氏) |
| 運営 | バンヤン・グループ(Banyan Group/SGX: B58) |
参考価格
公式サイトでは客室料金を公開していません。本稿執筆時点(2026年9月上旬)、Trip.com の当該ホテルページでは1泊約697米ドル〜と表示されていました。ハイシーズンの夏場と冬季(島の営業はシーズン制)、および客室カテゴリーによって大きく変動するため、あくまで目安としてご覧ください。正確な料金は公式サイトまたは各予約サイトでご確認ください。
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出所
- Banyan Group 公式ニュースルーム「Mamula Island by Banyan Tree Celebrates its Official Debut Season as Banyan Tree’s First Resort in Europe」(2026年6月29日)
https://news.groupbanyan.com/267624-mamula-island-by-banyan-tree-celebrates-its-official-debut-season-as-banyan-tree-s-first-resort-in-europe/ - Banyan Group 公式ニュースルーム「Banyan Group Expands Footprint in Europe with the Addition of Mamula Island by Banyan Tree in Montenegro」(2025年7月1日)
https://news.groupbanyan.com/251706-banyan-group-expands-footprint-in-europe-with-the-addition-of-mamula-island-by-banyan-tree-in-montenegro/ - Banyan Tree 公式サイト「Mamula Island by Banyan Tree」(客室数・客室面積・スパ構成・所在地)
https://www.banyantree.com/montenegro/mamula-island-by-banyan-tree - Banyan Group 公式ニュースルーム「Banyan Group Highlights New Chapter of Growth in 2026」(2026年1月15日)
https://news.groupbanyan.com/259549-banyan-group-highlights-new-chapter-of-growth-in-2026-following-its-landmark-100-resort-milestone/ - Trip.com「Mamula Island by Banyan Tree」(参考価格/2026年9月時点)
https://us.trip.com/hotels/mamula-island-hotel-detail-129923193/mamula-island-by-banyan-tree/ - UNESCO World Heritage Centre「Natural and Culturo-Historical Region of Kotor」
https://whc.unesco.org/en/list/125/