京阪ホールディングス傘下の京阪ホテルズ&リゾーツは、世界文化遺産・比叡山延暦寺を擁する比叡山に、リトリートホテル「THE THOUSAND HIEI ── 無為奥山(むいのおくやま)」を2027年春に開業する予定です。

京都駅前の「THE THOUSAND KYOTO(ザ・サウザンド京都)」に続く新たなコレクションとして、既存の「ロテルド比叡」の運営を株式会社ホテル京阪から移管し、リブランド・リニューアルを進めるプロジェクトです。2026年5月12日に計画が発表され、同年6月25日にはレストランの概要やシェフ体制について追加発表が行われました。
全33室のホテルが掲げるコンセプトは「比叡山嶺の、東洋療養リトリート」。比叡山と古くから「療養」が深い縁を持つ歴史的背景を踏まえ、食養生、鍼灸、温浴などを通じて心身を整える滞在体験を提案します。さらに、京都・滋賀の食材や地域に根付く発酵文化、薪や炭の火を取り入れた「心身を整える食体験」も、ホテル滞在の大きな柱となります。
注目ポイント3選
① 比叡山の東洋療養
比叡山延暦寺は、最澄による開山以来1200年以上の歴史を持つ日本仏教の聖地です。京阪ホテルズ&リゾーツは、最澄が仏教医学の知見を内包する『摩訶止観』の修行法を日本に伝え、自ら薬師如来を彫って延暦寺の本尊として祀った歴史などを背景に、比叡山を古来より心身を癒やす「療養」と深い縁を持つ地として位置付けています。
「THE THOUSAND HIEI ── 無為奥山」では、比叡山の湧水「日枝(ひえい)の霊水」を滞在を構成する要素の一つに据え、食養生、鍼灸体験、温浴体験などを通じて心身を整える滞在を提案します。比叡山の自然・歴史・精神文化を、現代のウェルネス体験として再構成したリトリートを目指している点が特徴です。

② 琵琶湖を望む33室
ホテルは、市街地の喧騒を離れた比叡山の森の中に佇む全33室の小規模施設です。客室はスタンダードルーム26室とスイートルームなど7室で構成される予定で、地下1階から地上2階までの低層型施設として計画されています。
施設イメージとして発表されているのが、琵琶湖の景観を望む「水盤テラス」です。比叡山の自然や静寂と一体となる空間づくりが構想されており、レストラン、バー、スパなども整備される予定です。京都駅前に位置する都市型ホテル「THE THOUSAND KYOTO」とは対照的に、自然の中で静かに過ごす時間そのものを価値とする滞在を打ち出します。


③ 「火と発酵」の食体験
2026年6月25日の追加発表では、ホテルの滞在体験の中心となるレストランの概要が明らかになりました。レストランでは、京都・滋賀の生産者が育む野菜や穀物など土地の恵みを活かし、この地域に受け継がれてきた発酵文化と、薪や炭による「火」を料理の軸に据えます。

ヘッドシェフには、比叡山麓・比叡平で育ち、京都「イル ギオットーネ」「レストランよねむら」などで研鑽を積み、自身のレストラン「Obase」を10年間率いた小長谷英之氏が就任。料理監修には、京都・岡崎のレストラン「cenci」を率いる坂本健氏とそのチームが参画します。比叡山の自然や発酵文化から着想を得た料理を共同で構築していく計画です。
食事の体験は大きく2つの空間で構成されます。「アペリティフエリア」では、併設された発酵室を眺めながら発酵文化に触れ、食事へと感覚を整える時間を演出。その後のメインダイニングでは、薪や炭の火を使った料理を中心に、京都・滋賀の食材を味わいます。「火と発酵、そして共生」をテーマに、食事そのものを心身を整える時間として設計している点が特徴です。


「THE THOUSAND」の新たなコレクション
「THE THOUSAND KYOTO」は2019年に京都駅前で開業しました。その後、「千年ホテル」をブランドコンセプトに掲げ、人にも社会にも未来にも心地よい感動体験を届ける「サステナブル・コンフォート・ホテル」を目指しています。
「THE THOUSAND HIEI ── 無為奥山」は、その理念を継承しながら、ホスピタリティの舞台を都市から比叡山の自然へと広げる新たなコレクションです。サブネームの「無為」は、都市の喧騒や作為的なものから離れ、自然と調和する在り方を、「奥山」は市街地から離れた比叡山上という場所性を表しています。
ホテルの基本構想には、龍崎翔子氏が代表を務めるホテルプロデュース会社「水星」も参画し、京阪ホテルズ&リゾーツとともにコンセプトやサービス設計を進めています。
周辺環境
比叡山は京都市左京区と滋賀県大津市にまたがる標高848mの山で、世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産である比叡山延暦寺を擁します。京都市街から離れた深い森と山岳環境に囲まれ、琵琶湖を望む景観にも恵まれたエリアです。
京阪ホテルズ&リゾーツは、京都駅前の「THE THOUSAND KYOTO」、大津の「琵琶湖ホテル」、そして新たな「THE THOUSAND HIEI ── 無為奥山」を有機的につなぐことで、「京都」「琵琶湖」「比叡山」一帯の魅力向上を図る方針も示しています。
比叡山エリアへのアクセス
所在地:京都府京都市左京区比叡山一本杉(旧ロテルド比叡)
- 自動車では京都市内から比叡山ドライブウェイを経由して比叡山エリアへアクセス可能
- 京都側からは叡山電鉄「八瀬比叡山口駅」から叡山ケーブル・ロープウェイなどを利用して比叡山方面へアクセス可能
- 滋賀・坂本側からは坂本ケーブルを利用して比叡山延暦寺方面へアクセス可能
※「THE THOUSAND HIEI ── 無為奥山」までの送迎や公共交通機関による具体的なアクセス方法については、今後の公式発表をご確認ください。
施設概要
| 正式名称 | THE THOUSAND HIEI ── 無為奥山(ザ・サウザンド比叡) |
|---|---|
| ブランド | THE THOUSAND |
| 運営 | 京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社 |
| 所在地 | 京都府京都市左京区比叡山一本杉 |
| 前身施設 | ロテルド比叡 |
| 運営移管 | 株式会社ホテル京阪 → 京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社 |
| 客室数 | 全33室(スタンダードルーム26室、スイートルームなど7室) |
| 階数 | 地下1階〜地上2階 |
| コンセプト | 「比叡山嶺の、東洋療養リトリート」 |
| ウェルネス体験 | 食養生、鍼灸体験、温浴体験など |
| 主な付帯施設 | レストラン、バー、スパ、水盤テラスなど |
| レストラン | 京都・滋賀の食材、発酵文化、薪・炭の火を軸にした「心身を整える食体験」 |
| ヘッドシェフ | 小長谷英之氏 |
| 料理監修 | 坂本健氏/cenciチーム |
| 基本構想・サービス設計 | 京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社+株式会社水星 |
| 関連ホテル | THE THOUSAND KYOTO(京都駅前、2019年開業) |
| 開業予定 | 2027年春 |
(情報は2026年9月時点。開業日や施設内容は計画段階のため、今後変更となる場合があります)
参考資料
- 京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社 公式プレスリリース 「“比叡山嶺の、東洋療養リトリート”『THE THOUSAND HIEI ── 無為奥山』開業へ」 (2026年5月12日)
- 京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社 公式プレスリリース 「世界文化遺産・比叡山に誕生する東洋療養リトリート『THE THOUSAND HIEI ── 無為奥山』“心身を整える食体験”を提供するレストランの概要を公開」 (2026年6月25日)
- 日本経済新聞 「比叡山に東洋医学テーマのホテル 京阪HD子会社、2027年に開業」 (2026年5月12日)
- ファッションプレス 「京都・比叡山に『ザ・サウザンド比叡』27年開業へ」 (2026年5月12日)
- 比叡山延暦寺 公式サイト 「交通アクセス」
- 京都府 「世界遺産(世界文化遺産) 延暦寺」