重要文化財がラグジュアリーホテルへ —日本初の監獄ホテル
奈良市に現存する明治期の建築遺構「旧奈良監獄」(奈良少年刑務所)。
かつて明治政府が主導した近代刑務所制度の象徴であり、日本の五大監獄のひとつとして1908年に完成したこの建物は、現在、国の重要文化財に指定されています。
この由緒ある近代建築が、2026年春、星野リゾートによって最高級ブランド「星のや」の「星のや奈良監獄」として生まれ変わります。
星野リゾートによる本プロジェクトは、宿泊施設としての役割を超え、文化財保存・歴史教育・地域観光の三者をつなぐ実験的モデルとして期待されています。

注目ポイント—重要文化財のアダプティブリユース
今回のプロジェクトでは、重要文化財に指定された建築構造を残したまま、ホテル用途へ転換する「アダプティブ・リユース」の先進的事例として注目を集めています。本施設の最大の特徴は、単なる建築物の転用にとどまらず、空間に刻まれた“歴史の記憶”を体験として昇華させている点にあります。
旧奈良監獄は、中央監視所から放射状に延びるハビランド・システムを採用しており、機能美と秩序性を備えた構造が特徴的です。この設計意図を尊重しつつ、耐震補強や設備更新を施すことで、文化財としての原型を保ちながら現代的な宿泊空間へと転換する「アダプティブ・リユース」が実現されています。
客室には、かつての独房を複数繋ぎ合わせたスイートルームも計画されており、壁面や扉の素材・寸法など、歴史的意匠を活かした記憶と共に泊まる体験が設計コンセプトの核となっています。
また、施設内には一般来場者が利用できるミュージアムスペースも併設予定。これは、宿泊者に閉じた体験にせず、文化財としての建物を広く社会に開かれた存在へと位置づけ直す構造的意図に基づくものとなっています。



周辺環境
旧奈良監獄は、奈良公園や東大寺といった歴史的な観光スポットに近く、文化・自然・歴史が織りなす奈良らしい風景の中に位置しています。

アクセス
所在地:奈良県奈良市般若寺町18
施設概要
ブランド | 星のや |
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所在地 | 奈良県奈良市般若寺町18 |
客室数 | 48室 |
建築面積 | 星のや奈良監獄:6,226㎡/ミュージアム(仮名称):1,762㎡ |
延床面積 | 星のや奈良監獄:10,343㎡/ミュージアム(仮名称):2,168㎡ |
敷地面積 | 100,478.80㎡(付帯のミュージアムを含む) |
付帯施設 | レストラン、ラウンジ、ミュージアム(ミュージアムは、日帰り利用可能) |
ホテル計画 | 東環境・建築研究所 |
ランドスケープデザイン | オンサイト計画設計事務所 |
施工 | - |
事業者 | - |
開業 | 2026年春(予定) |
参考:
星のや公式:https://hoshinoresorts.com/ja/brands/hoshinoya/sp/hoshinoyanarapriso
旧奈良監獄公式:https://former-nara-prison.com/index.html
朝日新聞:https://www.asahi.com/articles/ASK7J4WMFK7JPQIP01K.html
